① コロナ禍によるPC、ゲーム、タブレット端末の需要拡大
2020年以降、新型コロナウイルス感染症の影響により外出が制限され、多くの企業がテレワークを導入し、学校もリモート授業を増やしたことにより、PCなどの通信機器の需要が急増しました。
また、外出できない期間が長かったため、家庭で過ごす時間が大幅に増え、ゲームやタブレットなどの電子機器の需要も増加しました。これらの通信機器や電子機器は半導体を使用しており、その需要が拡大したことが半導体不足の一因となりました。
② 自動車のスマート化や電気自動車の普及
近年、脱炭素社会の実現に向けた取り組みが進んでおり、その中で電気自動車(EV)やハイブリッド車(HEV)などの需要が急速に拡大しています。
これらの電気自動車やハイブリッド車は、ガソリン車と比較して多くの半導体が使用されるため、普及に伴って半導体の需要も比例して拡大しています。
自動車業界は競合他社や他の産業と半導体供給のために競争しており、需要と供給のバランスが崩れた結果、半導体不足が発生する要因の一つとなりました。
③ IoT製品やAIの普及
スマートホームデバイスやスマートウォッチなどのIoT製品は、センサーや通信機能を備えており、それらには半導体デバイスが不可欠です。これらのセンサーや通信用の半導体デバイスのコストは年々低下しており、それに伴い導入コストも大幅に下がってきています。その結果、IoT製品の普及が加速しています。
また、AIの発展に伴い、AIチップや高性能な半導体の需要も急速に増加しています。AIはディープラーニングや機械学習などの計算処理を行うために高性能な半導体を必要とするため、需要が拡大しています。
このようなIoT製品やAIを用いた製品の急速な普及に伴い、需要が拡大している一方で、十分な供給が追いつかない場合には、半導体不足が生じる可能性があります。
④ 次世代5Gへの移行に伴うモバイル端末増加や通信インフラの置き換え需要の増加
5Gは高速なデータ通信を実現するために、より多くの半導体デバイスが必要とされます。
さらに、5Gの展開には通信インフラの更新や置き換えも必要であり、基地局や通信ネットワークにも大量の半導体デバイスが必要とされます。
このように5Gの普及に伴う半導体需要の急増は、供給に追いつかずに不足を引き起こす一因となっています。
⑤ 半導体工場の設備老朽化による生産能力不足
半導体工場の設備老朽化による生産能力不足が問題とされています。従来技術を用いた半導体デバイスを製造している一部の古い工場では、製品の利益率が低いことにより、増産に必要な設備投資を躊躇せざるを得ないという側面もあり、増産自体が容易ではないという課題があります。これにより、需要の増加に追いつけず、供給不足が生じる可能性があります。